近視進行抑制について、民間療法を含めて様々な情報があふれています。
しかし、現時点でエビデンスがあると言われていることは
- 1) 累進屈折力メガネの装用(遠近両用のメガネの使用)
- 2) コンタクトレンズの装用(オルソケラトロジー、遠近両用コンタクトレンズの使用)
- 3) 薬物療法(アトロピン硫酸塩点眼液)
です。
この中で最も効果の強い方法はアトロピン硫酸塩点眼ですが、アトロピンは普段1%の濃度で使用されており、この方法では、散瞳による羞明(まぶしさ)、調節麻痺による近見障害(近くがピンボケで見えない)、眼のアレルギーを起こすなどの副作用が強く、長期間継続して使用するのは困難です。
近視進行抑制に対する治療はアジア地域ですすんでおり2012年にシンガポールの国立眼科センター (Singapore National Eye Center) から、低濃度のアトロピン(0.01%)でも1%と同様の強力な予防効果が得られた、との報告がされました(参考文献1)。
参考文献1: Chia A et al. Atropine for the treatment of childhood myopia; safety and efficacy of 0.5%, 0.1%, and 0.01% doses (Atropine for the Treatment of Myopia 2). Ophthalmology 119: 347-354. 2012.
内容については以下の通りです。
1%アトロピン点眼群では、ほとんど近視が進行していないという効果が出ていました。
しかし日常生活に支障があるような「まぶしさ」や「全身的な副作用の心配(血圧上昇・動機など)」があります。
0.01%アトロピン点眼群においてもプラセボ群に比べますと、約60%の抑制効果が得られています。現存する近視進行予防の治療方法の中では突出して高い効果です。
さらに0.01%アトロピンは低濃度である分、副作用も軽微であり、まぶしさや近見障害を訴えることはなく、軽度の遠方視力低下(全症例の13%)があるくらいでした
そこで当院でも低濃度アトロピン点眼液による近視進行抑制に対する治療を行っています。
詳細は、診察室で担当医にご相談ください。